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新・南天通信

2007.4.13

分かってなかった

大村君との暮れからの約束であった"大阪:地下鉄巡り"がやっと実現した。谷町線の新20系に乗って八尾南まで行って、後は中央線、ニュートラム、四つ橋線、千日前線、環状線・・・石部を出る前から大変な喜び様であった。

そしていよいよ東梅田からその待ちこがれた新20系に乗ろうと電車を待ったが、新20系は来ない。駅員さんに聞くと「ああ、それは中央線に移ってますよ。」ということであった。やむなく他の型の電車で八尾へ向かった。昼飯を食べて引き返し、中央線のホームで何台も何台もその電車を待ったが、やはり来ない。今度は大村君がしびれをこらして「これに乗る」と言ってくれたので、近鉄乗り入れ車両でコスモスクエアへ向かった。

電車に乗り込んだ大村君は両耳を押さえて、じーっと斜め前方をみつめたまま、固まって動かない。話しかけても反応しない。期待の電車に乗れないショックなのか、電車のアナウンスが嫌なのか、ずーっと表情を崩さない。

「大村君、仕方ないな。次の線では来るかもしれないしな。」と慰めながら四つ橋線のホームに上がったら、本当にその電車が来た!大村君の表情がいっぺんに崩れた。ニコッーとして「新20系に乗る!」と電車に飛び乗った。車内は殆ど同じアナウンスなのに、耳を押さえることもなくにこにこと車内を眺め回している。

「なんば」に着いて上機嫌で千日前線へ行ったら、皮肉なことにまた新20系が来た。喜びは最高潮、体をゆすって「新20系嬉しい」と何度も何度も話しかけてくれた。

 

大村君は、おとしよりのグループホーム"わいわい"で働いている。ホームの開設準備からのスタッフで、残っているは、もう彼だけとなる。丸5年の間、ホーム内の掃除や食器洗いなどの仕事を続けてくれている。 就労のきっかけは、共生舎なんてんでの職場実習であった。学園の先輩である共生舎のけい子さんの働きにならって、おとしよりと一緒にゆっくりと生活してくれたらいいなあと考えてスタッフとして雇用した。

しかし、自閉症の障碍のため、おとしよりとはむろん、他のスタッフともなかなか思うようなコミュニケーションが取れなかった。もちろん私とも同じであった。

そして2年前ぐらいから、今度は誰に対しても顔も合わせない、目も覆ってしまう状態になり、ジョブコーチさんにも来てもらうことになった。ジョブコーチさんの本格的、長期に渡っての努力で一旦軌道に乗りかけたが、ここにきてまたまた厳しい表情を見せ始めた。

 

"地下鉄巡り"を終えた大阪駅からの帰りの電車の中で、珍しく大村君が居眠りを始めた。軽い寝息を立てながら、満足そうな雰囲気を漂わせている彼の横で考えた。

グループホームのホーム長はじめスタッフのみんなが、おとしよりの世話の間をぬって毎日毎日悩みながら大村村君に関わってくれたのに、一体私は何をしてきたのだろうか?

障碍があるからといっていい加減な働きは困る、スタッフとして雇用してるのだから、給料の安い高いにかかわらずしっかりと働いてもらわんと困る!とスタッフやジョブコーチさんを通じてではあったが、ことある毎に彼に迫った。また時にはお母さんにまで迫った。

自閉症からくる障碍のため彼がどれほど苦しみ耐えてきたのか、その彼を抱えるお母さんの心痛は如何ほどであったのか、私は充分に分かっていなかった。

やりたいこと、やりたくないこと、好きな人、好きでない人、行きたいところ、行きたくない所・・・今の気持ちやこれからの夢を伝えられない苦しさ、分かってもらえないはがゆさ、いつも自閉症の障碍者としてしか見られない怒りをどれほど共有していたのか、反省の至りである。

 

 

 

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