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新・南天通信

2011.1.11

「二十四の瞳」

限られた手数で、どうしてもおとしよりが退屈されてしまう。

 

生活感を大事にしようと、秋桜舎でも日課は定めていない。生活リハビリと称して食事準備(具材切りや盛り付け)や片付け、洗濯ものたたみや水やり、買い物や回覧板配りをやってもらっているが、とても充分とは言えない。

 

また合間に行うラジオ体操や風船突き、百人一首やトランプなども散発的なものでしかない。日課を定めないことでゆったりとした生活感を生み出す反面、リハビリテーション(頭、気持ち、身体)の不十分さにどう対応するのか、ずーっと頭から離れなかった。

 

そんなある朝、新聞の広告欄に「なつかし映画」の通信販売が載っていた。秋桜舎でも映画の話しはたまに出るが、そう言えば一度もやったことがない。テレビよりも少し大きめなスクリーンに映し出したら、きっと喜ばれると直感した。

 

そばに居た連れ合いさんに「なつかしの映画、いいと思うけどな」と声をかけた。「いくらすんの?そのDVDは」と聞いたので、新聞を見ながら「1万6千円」と答えた。「アカンっ!経営改善のまっさかりやないの、そんな金ありませんっ!図書館行って借りておいで!」とあっさり一蹴された。

 

翌朝、なんてん共働サービスの若い子に相談したら「つたやに行ったら何でも安くて借りれますよ」と教えてくれた。初めてその「つたや」に行った。会員になって作品を借りた。「おもいで映画館」のコーナーから「喜びも悲しみも幾年月」ほか四作を選んだ。

 

翌日早速、秋桜舎の交流室で小さなスクリーンとプロジェクターをセットして「こすもすやシアター」をオープンさせた。

 

初公開は「二十四の瞳」、狭い部屋に朝子さん、ゆり子さん、しまさん、タケさん、博さん、トミさんが集まった。特に認知症の進んだゆり子さん、タケさんも、見るよと言われたので部屋に入ってもらったが、おそらく理解は難しく途中退場になるだろうと思った。

 

「芸術祭参加作品」の後に、富士山を背景にしたあの松竹映画の立字幕が出ると、みなさんから一斉に「なつかしい!」という声が挙がった。スタッフや俳優さんの紹介字幕の間に「仰げば尊し」の歌が流れると、早くもみなさんの目に涙!そして冒頭のおなご先生の自転車のシーンでは「戦前で自転車はそらハイカラや、男の人かてよほどでなかったら乗ってなかったな」と朝子さんの声。

 

12人の子どもたちが泣きながら歩き続けて小石(大石)先生に会いに行くシーンでは、身を乗り出して見ていたタケの目からさらに大粒な涙が・・・。6年生の修学旅行で奉公に出された松ちゃんと出会うシーンでは、ゆり子さんが「かわいそうにねー」としょんぼりとした声を出された。そして、じーっと画面を見ていたトミさんは「昔を思い出して・・・」と涙を拭く手が止まらない。

 

途中退場を心配していたゆり子さんタケさんも「仰げば尊し」を口ずさみながら、最後まで席をはずされることはなかった。反して、映画の途中まで「高峰秀子だい、金比羅さんだい・・・」と間の手を入れておられた博さんは残り三分の一ぐらいで「つらすぎて見ておれない」と席を立たれてしまった(もっとも12時過ぎたので本当は腹が減ったのかな?)。

 

2時間半の映画が終わった後も、みなさん涙を拭きながらしばし余韻にふけっておられた。そして私もそっと涙を拭きながら片付けにかかった。

 

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