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 home > 広報 > タイ王国からの便り > 2007/10/31

タイ王国からの便り

2006年6月から2008年7月まで国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員としてタイで活動している佐藤綾子さんからのリポートです。


2007年10月31日

最近の私自身の活動について書きます。

午前中は以前と変わりなくセンターに通ってくる自閉症の子どもと遊んだり勉強したりしています。 この写真は小麦粉粘土をして遊んでいる様子です。去年は鉛筆以外の絵の具や糊などに触れず泣きだす自閉っ子もいましたが、今では小麦粉でも水でも粘土でもなんでも触ります。 また最近は家庭訪問をできる限り行うようにしています。家庭訪問先は自閉症の子どもに限らずどこにでもいきます。 近いところはバイクで、遠いところはセンターの人と車でいきます。

 

身体障害児で重度の子どもの場合、食事の時、寝かせた状態で食べさせていることがよくあるため、体を起こして食べさせましょうと伝えるようにしています。

 

この写真はセンターへ通ってきている自閉症の子の家へ家庭訪問へいったときのものです。のびのびと生活しています。

これは泥道を通っていくため、裸足で訪問先へ向かっているところです。

次からの写真は同じ協力隊で職種、作業療法士の人にきてもらい一緒に家庭訪問を行い、身体障害児への支援方法を教えてもらったときのものです。 この男の子の母は以前から車椅子に机をつけてほしいと私に伝えていました。この日、机を作る際のポイントを教えてもらい、センタースタッフと一緒に作りました。 この女の子も身体障害児です。 作業療法士がいうにはちゃんとした訓練をすれば歩けるようになる、とのことでしたが、センターからも遠く、病院にもいくこともできないため訓練を受けることができません。訓練を受けることはできませんが、姿勢の保持と手先を使った遊びができるようにするため、体に合った椅子と机を作ろうということになり、現在作成中です。

 

家庭訪問をしていて思うことが色々とあります。 プラチンブリのセンターのスタッフの行う家庭訪問とは、米や牛乳、お菓子などをもっていくことがメインです。家庭訪問の際に限らず、センターにおいても障害児にものを渡す、ということが頻繁に行われます。近所のお金もちの人や会社から、またセンタースタッフの親御さんなどから頻繁に寄付が届けられ、それを渡します。

初めのころはこれがとてもいやでした。災害などの緊急時にものを届けるのはわかるけれども、障害は今に始まったことではなく、ものをもらったから障害が治るわけでもない。ものを渡して満足している姿勢に、これが障害児支援の専門機関と位置づけされている特別教育センターが行うものなのかと、納得いかないものを感じ、それより子どもたちへの支援、教育のレベルアップに力をいれたらどうなのかと思っていました。

タイでは仏教の教えで「たんぶん」を行うことが奨励されており、こうして社会的弱者に物を渡すこともたんぶんになり、またこれはあげた方にも、もらった方にも徳が積まれるとされているため、これはタイの文化だから普通のことなのだ、と思ってみても何かやるせない気持ちがありました。

家庭訪問も同じで物を渡して回ります。初めはやはりこれに対してむなしい気持ちがありました。そのため、指導もあわせて行いたいね、とスタッフに伝えてきました。

家庭訪問を繰り返し行う中で、よく出会うのが障害児を祖父母が面倒をみているケースです。祖父母のうちどちらかが働きに出て、どちらかが子どもの面倒をみています。このことに関してセンターのスタッフが、タイでは障害児が生まれると両親は離婚し、子どもの面倒は祖父母がみるケースが多いと言っています。統計をみたわけではないため、実際にどれくらい多いのかわかりませんし、スタッフは家庭訪問にいくならできるだけ貧しい家庭にものをもっていきたいと思っているため、私が連れていってもらう家庭にそういうケースは多くなると思うのですが、本当に祖父母が面倒みているケースが多いです。

たとえば写真でピンクの服をきている女の子のケースも祖父母がみています。祖父は昼間働きにいき、祖母が面倒をみています。センターからは25キロほど離れており、足もないので通えず、病院にもいっていません。祖父は働いて一日100バーツ、県から月に500バーツもらっています。(大卒で働きはじめの初任給がおよそ8000バーツ) この家は田んぼの中にポツンと家があり、周りに近所の家がありません。周りに友達がおらず、学校にも行けない状況をみて、日本の義務教育制度のすばらしさ、学校で友達に会えたり勉強できる機会が当たり前にあることのありがたさを再認識しました。

また、センタースタッフが行ってきた物をあげるという家庭訪問も、今のタイではまだまだ必要なことでもあり、その家庭にとってはセンターから忘れられてはないと感じられる重要なものなのだと思うようになりました。 ただこの考えは、自分の気持ちを整理していく上で納得させるためのものだと思います。

センターが把握している県下の障害児の数、約160名。うちセンターに通ってくる子どもが10名ほど。プラチンブリ県は広いこと、またセンターは家庭訪問は重要だという考え方はあるものの、なかなか家庭訪問の時間が取れないことなどから、全ての子どもの家庭訪問が行えるわけではありません。

私ができることとして、可能な限り家庭訪問の時間をとって地域の現状把握をしてもらうよう伝えていくこと、家庭の様子が行った人にしかわからない状況なので、スタッフみんながわかるような家庭訪問時の記録用紙の作成などをしていきたいと思っています。